音楽と数学

2018年9月 6日 (木)

音楽と数学(割り算) その1

実は、音楽と割り算は意外と密接な関係があります。
すでに「音楽と数学」の記事を読んだことのある方は何度か目にしているはずです。

まずリズムについて考えてみます。

楽譜に表記される4分音符、8分音符などは、1小節の時間を4つや8つに割って得られます。
また、3連符や5連符は、1拍を3つや5つに割るというのは、ある程度音楽をやっている方はわかるでしょう。

このように、リズムに関しては、ある時間を均等に分割したタイミングで音を発することで、曲を演奏することができます。

次に、音高について考えてみます。

音の元になる音波の周波数を考えると、例えばチューナーでAの音を440(Hz)とした場合、1オクターブ上は同じくAの音で880(Hz)で、1オクターブ下の音は同じくAの音で220(Hz)になります。以上は、頭の中で440に対して、2を掛けたり割ったりするとこの答が出てくることがわかります。

そして平均律という音階は、1オクターブを均等に12分割してできた音階です。
そもそも1オクターブというのは、ある周波数の音があるとして、その音の2倍の周波数の音は1オクターブ上になり、0.5倍の周波数だと1オクターブ下になります。
これらのことは、すでにブログに書いていますが、周波数と音程の関係は指数関数で表されるため、以下のような式になります。(Nは整数。Nを1で増減することで半音を表す。)

f(N) = 440 ×2(N/12)(2のN/12乗)

詳細はブログを参照(ここをクリック)していただくとして、ここで1オクターブを均等に12個に分割するというのは、上の式のN/12に現れています。
ここにN=0とN=12を入れると、N/12は0と1になり、このときの2(N/12)の値は1と2になります。N=24の時は4倍、N=-12の時は0.5倍。これで1オクターブの周波数がNが12増えるたびに2倍になり、1オクターブを12分割した分が半音になることがわかります。

平均律ではない音階としては、純正律やピタゴラス律があります。これらは、音程自体が周波数の割り算で表されます。
例えばAの音に対して完全五度の音であるEは、Aの周波数に対して3倍したものに対して、2で割って1オクターブ内の周波数に収めます。

つまり、A=440(Hz)とすると、

E = 440 × 3 / 2 = 660 (Hz)

と言うことになります。

さて、ここまでは今までの復習ですね。
音楽と割り算の関わりが少しわかったのではないでしょうか?

では、次回の音楽と数学(割り算)は、12音階でないものを探求してみます。

お楽しみにscissors

2018年7月28日 (土)

音楽と数学(グラフ理論) その2

お待たせしました。その1(リンク先)を書いたので、次のネタは実は決まっていましたsun

前回はブルースのコード進行をグラフ理論でどのような図になるかを書きました。

グラフ理論では、点(ノード)と線(エッジ)によって、複数のものに関する関連性を示すことができます。また図で書いたものを別のデータ形式にすることができます。このデータ形式を比較することで同じ構造・構成かどうかが一目でわかります。

グラフ理論で用いるグラフは、大きく分けて有向グラフと無向グラフがあります。

Cのブルースのコード進行は、C→F→C→G→F→Cと前回も書きましたが、前回の図をみても、それぞれのコードの関係に向きがあるのは直感でわかるのではないでしょうか?

またここで行列が出てきます。実は、グラフ理論の別のデータ形式というのは行列です。Cのブルースのコード進行で、Cを1列と1行、Fを2列と2行、Gを3列と3行の隣接行列で表すと、下の図のようになります。1は繋がりがあり、0には繋がりがないという意味です。また今回は有向グラフですので、行が繋がる元で、列は繋がる先を意味します。ちなみに無向グラフの場合、繋がる元と繋がる先が逆にもなり双方向になるため、対称行列(行列の対角線を中心にして値が同じもの)となります。

Cfg

同じコードへの移動は常に可能ですので1を入れます。C→Fの繋がりは、1行2列目に1が入ります。同様にほかの繋がり部分F→C、C→G、G→Fに1を入れ関係のない部分は0にします。

見てわかるように0が2箇所ありますね?
これは、F
G、GCの進行がないということです。
仮に、Cのブルースを無向グラフで表した場合には、G→FとC→Gの進行はあるので、0のない行列になって全てが1で埋まってしまいます。
そうなると曲進行の特徴はわからなくなります。

今回はCのブルースという簡単な進行を示してみましたが、実はブルースのコード進行というのはキーが移動している(転調している)という特殊な進行です。
またCのブルースと言っても、実際にはC7も適用できるので、属7の一発もののキーが3つあると考えることもできます。

実はこのコード進行は、色々と奥深いものがあるのですが、それはまた別の機会に。coldsweats01

2018年5月14日 (月)

音楽と数学(グラフ理論) その1

久しぶりに音楽と数学を書きます。
本当は来週5/26(土)がライブ本番なんで、ライブのことでも書こうと思いましたが、今年になっていろいろ書きすぎてネタがないので、もはや皆さんには来ていただくしかありません(笑)
もしかしたら音楽と数学の話もするかもしれませんのでお楽しみに。

…で、しばらく書いてなかったものの、何か音楽と数学で密接にかかわるものがあったようななかったような、もやもやした感覚を持っていたのですが、思い出しました。

タイトルの『グラフ理論』です。高校生以下の人だと、聞いたことがないかもしれません。

グラフ理論を簡単に言うと、点と線で繋がったものだと考えてください。

そもそもグラフという言葉は、絵という意味なので、図形化したものはグラフですね。棒グラフや折れ線グラフや、中学から学ぶXYグラフもあります。

今回のグラフはもっと一般的なもので、下のような図で点と線で繋がったものです。

Graph1_2

この場合の点に意味があったり、線に方向があったり、線が曲線でも(下の図)やはりグラフです。

Graph2

ここまでくると勘の良い人なら、音楽で似たような構造があることに気付くと思います。
例えば楽曲構造。A-A-B-A形式とかありますが、AとBの点があって、方向性を持つ線で表現できます。
またコード進行。ジャズをやっている人であれば、Ⅲ→Ⅵ→Ⅱ→Ⅴ→Ⅰというように、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅴ、Ⅵという点と、方向性を持った線で表現できます。

ということで今回は、Cのブルースを題材にします。
Cのブルースでは、基本的にはCとGとFのコードを使います。ジャズとかおしゃれなサウンドになると、それぞれが7thコードになったり、それぞれのコードをⅡ→Ⅴに分解したり、代理コードに置き換えたりしますが、そこは今回は置いといて、基本的なもので表すことにします。
Cのブルースのコード進行は、C→F→C→G→F→Cですので、次のようなグラフになります。

Graph3

わかりやすいと思いませんか?
多分ほとんどの人は、譜面上のコード進行と繰り返し記号を読むことで、覚えると思いますが、それをシンプルな図にしただけですね。

さてブルースの場合は、5音(ドレミソラ)を使ったメジャーペンタトニックスケールを、各コードの部分で使えば間違いありません。(例えばFのコードでは、F、G、A、C、Dの5音)

C、F、Gの全てで、Cのブルーノートスケールを使うというのもありますが、グラフ理論とは関係ないので今回はパス。

ということで、CのブルースではC、F、Gのそれぞれのメジャーペンタトニックスケールを使って、頭の中で、上に書いた図を思い出せば、どこでもブルースは演奏できますね。

さて「音楽と数学(グラフ理論) その1」と書いてしまったので、次もきっとあると思いますcoldsweats01

次回もお楽しみに!sun

2017年10月 7日 (土)

音楽と数学 (比例) その2 

涼しくなって頭がスッキリしてきたので、連続で音楽と数学を書きます。
「確率」を書いていたところで、気が変わったので、ちょっと置いといて、「比例」について書きます。

「比例」については、以前一回書いています(参照)。
今回はその2ということで、もう少し楽器に近い物理的なところを書きたいと思います。

音の速さは中学で習ったはずですよね?
音楽の元になる、周波数や波長については、高校の物理の範囲なのでちょっと難しいかもしれませんが、覚えておくと役にたつかもしれません。
周波数は耳で聞けば音の高さで認識されるため、ある程度はわかりますが、波長なんて聞こえないし、見えないし、味もしないし、匂いもしないので全然わかりませんね。
あの人とは波長が合わないとか言うこともありますが、その場合も見えないから適当なことを言っているとしか思えませんhappy01

多分波長に関して、人間が認識しやすいのは管楽器でしょう。
例えば、周波数が高い楽器は管が短く、低い楽器は管が長い、または周波数が高い楽器は小さめで、低い楽器は管が大きいと言うイメージは、トランペットとチューバを考えるとわかると思います。
ちなみにBbのトランペットの管の長さは1.37mで、Bbのチューバの管の長さは5.4mぐらいです。ちょうど両方Bb管なのでこの数字の比率は5.4/1.37=3.94..で大体4倍ぐらい違うと言うことです。
ここで正確に4にならないのは、管楽器の場合は管の太さに比例する開口端補正というものが生じるためですが、詳細はググって調べてみてくださいcoldsweats01
トランペットは細く、チューバは太いので、トランペットに0.01m(=1cm)、チューバに0.12m(=12cm)の開口端補正を考えてみると、5.52/1.38=4でぴったり4倍になります。

管の長さが半分になると1オクターブ高くなることはピッコロとフルートの関係を見ればわかりやすいと思います。トランペットとチューバのように、管の長さが4倍違う場合は、2オクターブ違うと言うことですね。

このことから、周波数(f)と波長(λ)にはお互いに関係がありそうだと言うことは薄々感じると思いますが、これに波の速さ(v)を加えると、以下の式で表せます。

f(Hz) = v(m/s) / λ(m)  … (1)

(1)にあるように、vの単位は(m/s)でλは(m)なので、単位だけで計算すると、fは(1/s)で秒の逆数になっていますが一般的にはHz(ヘルツ)という単位になります。(mはメートル、sはseconds=秒を表しています)
そして中学で習った空気中の音波の速さ(m/s)は、

v ≒ 331.5 + 0.6 × T  (Tは℃(気温)) … (2)

と表せます。つまり気温によってほぼ一定ということです。
ここで(1)式と(2)式を合わせ、空気の気温を20℃とすると、

f(Hz) ≒ 343.5(m/s) / λ(m) … (3)

となり、音波の伝達物質が固定の場合、波長(λ)と周波数(f)は反比例の関係になることがわかります。

ただし、これが空気ではなく固体や水中やヘリウムガスの中の場合では、速度が変わり(3)式の343.5の部分が大きい値(塩素や二酸化炭素の気体中では小さい値)になります。

また、ヘリウムガスを吸ったときに声が高くなるのは、肺の中から口に出すまでの間の空気の中での音波の伝達が速くなるために周波数が増加します。
同じく、管楽器の場合も音の発生源である管の中を伝わるので周波数が増加します。
ところがギターや打楽器、スピーカーから流れる音の場合は音の発生源には影響を与えません。そのため水中やヘリウムガスが充満した空間で音楽を流しても、周波数は変わりません。
その代わり音速に波長が変わります。

ということで、(1)の式から、同じ音がなっている(周波数が一定)場合で、音波の速さが大きくなったときには、波長も大きくなるということです。この場合は、(1)を変形した式で考えるとわかりやすいと思います。

v (m/s) = f(Hz) × λ(m) … (1)'

(1)'では、 f が固定の場合には、速度(v)が大きくなるときには波長(λ)が大きくなるという比例関係があることがわかります。

ちなみに音波というのは、伝播する物質の振動、つまり圧力変化で伝わるため、物質がない真空状態では音は伝わりません。
あとパトカーや救急車のサイレンが、近づくときと遠ざかるときで音が下がる、ドップラー効果はご存知でしょう。
これは音源の車の前方では、音源の移動による速度分だけ、波長が圧縮されるため音高が上がり、後方では波長が伸びるために音高が下がります。

さらに究極のドップラー効果で、音速を超える飛行機から発生する音の斜め前方では、音の速さよりも音の発生源の移動の方が速いために、波長が圧縮され空気の壁となるために、衝撃波という強烈な空気圧が発生するわけです。

今回は数学というよりは物理ですね。
ちょっと難しかったかもしれませんwave

ではまた。

2017年9月30日 (土)

音楽と数学 (確率) その4

さて前回は、アドリブ自体の数値化の話をしました。

今回はやっと重い腰をあげてアドリブの解析を始めようと思います。
題材にするのは、畏れ多くもジャズのアドリブの神様Charlie Parkerの、Confirmationを取り上げたいと思います。
なぜこの曲かというと、たまたま家にYAMAHA MUSIC MEDIAから発行された『チャーリーパーカのオムニブック』があったのと、実際このConfirmationのアルトサックスのソロは、耳に残るし、非常によくできたアドリブだと思います(って神様をほめてどうする)。そして著作権が切れているというのも大きなポイント。大手を振って解析できます。
曲はこちらを聴いてみて下さい。↓
という曲ですが、このうちのメロディが終わったところからアルトサックスソロ部分のみの64小節を、4小節ずつ分けて音符の数を解析したのが次の表です。

音符数

8分系音符数

16分系音符数

音域

1

30

22

6

F#1 - D3

2

31

24

6

F#1 - G2

3

43

0

42

G#1 - A2

4

33

24

9

E1 - A2

5

28

22

5

F#1 - D3

6

27

19

5

F1 - D3

7

21

19

0

A1 - D3

8

32

28

2

Eb1 - A2

9

25

21

2

A1 - G2

10

25

14

7

Eb1 - F#2

11

33

7

25

E1 - D3

12

26

14

10

E1 - C3

13

24

23

0

A1 - Eb3

14

38

25

12

E1 - D3

15

22

17

2

F#1 - A2

16

39

29

6

F#1 - A2

そしてこの表から、前回の音楽と数学 (確率) その3で示したAに関する数値を以下の法則にしたがって当てはめてみます。
1.音符数・・・各4小節の音符数の増減(±3以内は0とする)
2.音量・・・実際の音源からのVolume評価
3.音高・・・音域の平均値の上下
4.テンポ・・・8分系と16分系の比較(数の入れ替わった際は±1のいずれか)
5.方向・・・譜面において最小二乗法で傾きを判断(音符の玉の大体の位置を定規をあててみてcoldsweats01
6.和音・・・コード展開が激しいところが1、展開が少なくなるところが−1
B-1.音色、B-2.アクセントに関しては大変になりそうなので今回は諦めますcoldsweats01
これをまず表にすると次のようになります。

音符数

音量

音高

テンポ

方向

和音

1

-

-

-

-

1

-

2

0

0

-1

0

-1

0

3

1

0

0

1

0

0

4

-1

0

0

-1

0

-1

5

-1

1

1

0

1

0

6

0

0

0

0

0

1

7

-1

0

0

0

1

0

8

1

0

-1

0

0

0

9

-1

-1

0

0

1

0

10

0

0

0

0

0

0

11

1

0

1

1

1

0

12

-1

0

-1

-1

1

0

13

0

1

1

0

-1

-1

14

1

0

0

0

-1

0

15

-1

0

-1

0

0

1

16

1

-1

0

0

0

0

そしてこれらの数値を横に足し合わせたグラフにした結果が、次のグラフです。
 
Confirmation_2
さて、こんな結果が出ましたが、実際のアドリブの盛り上がりは、11番目よりも13番目の方のように聞こえます。
そう考えると、音数よりも音高の方が盛り上がりを感じさせる可能性があるので、音高に掛け合わせるスケールを1ではなく10ぐらいにすると次のようなグラフになります。
Confirmation_3
うーむまだまだな感じですね。
多分、音高に関してはもう少し細かい指標を考えた方がよさそうです。
あと今回は考慮していない、音色とアクセントですが、今回の解析から本当に関係あるのか怪しい感じです(笑)
他にも必要ないような数値もありそうだし、それよりも盛り上がりでの音の伸びを数値化する必要がありそうな気もします。
ただ、何となくアドリブの盛り上がりを数値化することで、アドリブがどうあるべきかが見える気がして来ましたwave

2017年7月16日 (日)

音楽と数学 (確率) その3

さて前回から間が空いてしまいました。
なかなか考えをまとめるのに時間がかかっています。
とりあえず、一歩一歩前進していきたいと思います。
前回は確率の前置きを長々と書きましたが、アドリブを数学で解析してみます。

とはいえ物事を数学解析するには、まずアドリブ自体を数値化する必要があります。そこで、ある時間的区間にある、アドリブの盛り上げや盛り下げに関する音高、リズム、和音の要素(A)として次のものを考えてみました。
  1. 前の区間と比較した場合の、音符数の上下
  2. 前の区間と比較した場合の、音量の上下
  3. 前の区間と比較した場合の、音高の上下
  4. 前の区間と比較した場合の、テンポの上下
  5. 前の区間と比較した場合の、音の向かう方向の上下
  6. 前の区間と比較した場合の、和音(ハーモニー)の複雑さの上下

これらの要素は、譜面をみればわかるものです。
さらにアドリブにおいての音高、リズム、和音以外の要素(B)に関しては次の要素があります。

  1. 前の区間と比較した場合の、音色の変化
  2. 前の区間と比較した場合の、アクセントパターンの変化
こちら側の要素は、2は譜面で書かれることも多いですが、1の方は楽器に依存したり、楽器の奏法が書かれない場合は、譜面には現れません。
歌が入ってくるとこれ以上に複雑な要素が増えると思うので、しばらくはインストルメンタルな曲に対して、これらの指標を割り当ててみます。
例えば、1の音符数の上下。
ある時間の音符数と次の時間の音符数の比較で、変化がない場合は0。
音符数が増える場合は1。減る場合を-1とします。このようにしてこれらの要素を数値化します。
     
A1:音符数 -1:DOWN, 0:変化なし, 1:UP
A2:音量 -1:DOWN, 0:変化なし, 1:UP
A3:音高(平均音高) -1:DOWN, 0:変化なし, 1:UP
A4:テンポ -1:DOWN, 0:変化なし, 1:UP
A5:音の方向 -1:DOWN, 0:変化なし, 1:UP
A6:和音の複雑性 -1:DOWN, 0:変化なし, 1:UP
B1:音符数 0:変化なし, 1:変化あり
B2:アクセントパターン 0:変化なし, 1:変化あり

さて、これを元に誰かのアドリブを解析していきたいと思いますが、誰にしようかな?
あと現状では0と±1しか使っていませんが、もしかしたら今後数値を変更した方がよいかもしれないので、そこは後々ということで。

まだ先は長そうですsnail

2017年5月27日 (土)

音楽と数学(確率) その2

しばらく行列について書いてきたのですが、行列だけでもかなり奥深く行ってしまいそうで、すでについていけなくなった人は、前の記事しか読まない気がするので、しばらく別方向へ。

それで複素数にしようか確率にしようか悩みましたが、以前確率について書いていて(こちら)、アドリブと確率については後日と書いていたので、そちらの方を書きたいと思います。

アドリブというのは、ある曲のテーマのコード進行の上で即興演奏を行います。
ただし大抵の場合は、最初の1コーラス目と最後の1コーラスはテーマのメロディをそのままやったりフェイク(ちょっとメロディを崩した感じ)で演奏します。
その前後にイントロとアウトロを入れるのが普通ですね。

さてどこに確率が入ってくるかというと、ジャズではその場で即興演奏しないといけないということは、あるコード進行上で自分でフレーズを考えないといけません。
でも毎回同じフレーズだと、聴く方も「またか!」と思ったり、すでに誰かがやったフレーズだと「コピーじゃないの!」とか、わかる人にはバレてしまうので、やはりその場で雰囲気にしたがってやらないといけません。

「音楽療法入門」芸術現代社 では、「音楽は時間的に秩序づけられた行動を求める」とあります。つまり音楽には時間的に前後が存在し、その前後の繋がりに理由があることを認識するということです。
演奏する立場としても、直前と全く違うことをすれば、そこで繋がりは分断され、聴く側としては違う曲になったと感じるということです。

受動的な音楽療法で、分断された音楽を聴かされると不快になるし、能動的な音楽療法で分断された演奏をする人であれば、その人は精神分裂症か、何かの普通ではない人ということになります。そういう演奏もないわけではないですが、その曲に精神的な繋がりすらない場合は、単なる音の羅列であってあまり意味がないものだと思います。

前置きが長くなりました。この時間的な秩序がアドリブにも必要で、アドリブを構成する際には重要になります。
この時に聴く側の予想するフレーズと演奏側のフレーズが一致するのであれば、標準偏差は0ということになります。
ここでの標準偏差とは、『予想するフレーズが発生する確率』であって予想フレーズに近いほど、確率分散(予想と結果の誤差の度合い)が小さくなり、その結果として標準偏差(誤差の度合いを集めたものから、その誤差が突拍子も無いものであるか、一般的なことかを表す値)が0になるということです。この値が0に近づくほど、予想通りに事象が起こったと言えます。

そうなると、レコードやCDや電子媒体他、記録された音楽は毎回同じで、何十回何百回何千回も聴くと標準偏差は限りなく0に近づくはずです。
人間の脳の記憶と全く一致してしまったり、どこにでもある曲と同じで予想通りであれば標準偏差はほぼ0と言ってよいでしょう。
ただ音楽全体においてはフレーズだけではなく、コード進行、コード構成、サウンドなどもっと複雑な要素が絡むため、なかなか飽きない音楽というのが存在します。

人によって差がありますが、この標準偏差が0に近づくと、その曲に飽きたり、つまらない曲になってしまいます。自分の場合はこの標準偏差の閾値が他の人より大きめなので、もはや大抵の曲に飽きてしまってます(笑)
どこにでもある曲ということを認識するのは、耳が肥えた状態であって、多くの曲を聴いていないと経験できないものです。
若い人中心に人気のあるポピュラー音楽の中で、年配の方にはなんでこんな曲が売れるの?と思うこともあります。これは若い人には新しいサウンドであっても、年配の人には似たような記憶があるためにこのように思うわけです。
その代わり自分が若い頃に聴いたポピュラーが良かったなぁ。と思うのですが、もう一回改めて何度も繰り返し聴いてみたら意外とつまんなかったりしますよ。

となると耳が肥えた人が聴くべき音楽は即興演奏以外ありえません。何しろ毎回違うわけですから。
ところがそんな即興演奏の世界なのに、意外と毎回同じことばかりやっている人の多いこと。
おっと!こんなことを書くから演奏者のお友達がいなくなっていくcoldsweats02

さて、今回は説明ばかりになりましたが、次回はアドリブを数学で解析する予定ですcoldsweats01

2017年4月17日 (月)

音楽と数学(番外編)

音楽と数学の番外編です。
facebookの方で、Jazz SaxプレイヤーのJohn Coltraneが考えた円環が紹介されていて、その元ネタを辿っていくと、オランダのRoelさんという方が、音楽と幾何学についてブログを書いていたので紹介します。

https://roelhollander.eu/en/blog-music/music-geometry/

例えば、日本のサイトで「音楽と数学」で検索すると、文書ばかりのページが検索されて、最後にはスピリチュアルな感じになってたりして、科学から程遠い内容にますが、彼のページは図形がぎっしりです。
しかもサックスプレイヤーということでまた共感します。
世の中には同じようなことを考えている人がいるんだなぁと少し安心しましたhappy01

2017年3月25日 (土)

音楽と数学(行列)その3

さてやっと色々と一息ついたので、久しぶりに音楽と数学のつづきで、少しずつ演奏と行列式がどんな関係になるかを書いていきます。

今回は、転回形について。

転回形については詳しいページが多分あると思うので、詳細は省略しまして、普通にCメジャーの和音を考えた時に普通は下の音からCEGとなるところが、ルート音をEにしたもの、例えばEGCとなるのが第一転回形。ルート音をGにしたもの、例えばGCEとなるのが第二転回形になります。

ではまず第一転回形を元の和音からの変換として行列を考えると次のようになります。前回同様、「行列(その2)」での音の出ないαを入れています。ここでも1はK0 を表していて、音程の変化がないことを意味します。またK12は1オクターブ上を表しているので、1オクターブ上の音名には’(ダッシュ)をつけました。

Matrix_c1

次に第二転回形を考えると次のようになります。

Matrix_c2

実はK12は2を表しているので、0と1と2だけのシンプルな行列になっています(すみませんが頭の中で2に変換してくださいcoldsweats01)。

実は4和音でも転回形は同じように0と1と2の行列が成り立ちます。
さて、ではここで第一転回形だけに注目して、逆の変換を考えてみます。-1は元の行列の逆行列を表します。

Matrix_c1_mono

ここで4次元の逆行列を自分で計算するのはとても面倒臭いので、ここはCASIOのサイトの逆行列計算ツールを使って、答えを先に求めましたcoldsweats01

逆行列を計算して、第一転回形の解を変換するとっ!!

Matrix_c__1

前述の-1のついた行列が左辺の行列と同じものになります。
こちらは0と1と1/2(K-12は1/2を表しています)だけの行列になり、元の和音に戻ることがわかりました。数学を知っていれば当たり前のことなのですが面白いでしょ?

というより逆行列って何?

ですよねーtyphoon

今日はここまで(笑)。

2017年1月16日 (月)

音楽と数学(引き算)その2

音楽と数学(行列)の途中ですが、今後行列でも和音においての構成音とその1オクターブ上の音では音楽での意味合いが変わりますので、例えば2度と9度の違いについて書きたいとおもいます。前回の引き算(リンク)では、基準音との差を書きました。
前回書き忘れた部分もありましたので追記します。

2度はドレミのドを基準とした場合全音上のレの音、9度は2度の1オクターブ上のレの音になります。

・・・と、その前に、耳で聞いてわかる半音とその1オクターブ上の音を考えてみます。
ドとドの半音上の音を和音の出る楽器で弾いてみてください。
音がうなるのがわかるはずです。

これは、2つの音の周波数の差分がうなりの周波数になるからです。(うなりとは2音で生じる合成音)
つまり前回の「音楽と数学(引き算)」での音のズレはうなりとして認識されます。
弦楽器を扱っている人はいつものことでわかると思います。

計算しにくいので、いつも通りA=440(Hz)を基準にして考えると、半音上のBbは純正律では、16/15周波数が上なので、

Bb = 440×16/15=469.33...(Hz)

になり、うなりの周波数は、

469.33... − 440 = 440 × (16/15 - 1) = 440 × 1/15 =  29.33...(Hz)

29(Hz)あれば音として聞こえます。この差分の周波数の音を、差音と言います。
次に、1オクターブ上の音を弾いてみてください。半音の時ほどの気持ち悪さはないはずです。
これも上記と同様に考えると、1オクターブ上の純正律でのBbの音は、

Bb = 440×32/15=938.66...(Hz)

になり、うなりの周波数は、

938.66... − 440 = 498.66...(Hz)

この音は、440 × 9/8 = 495(Hz)に近いですね。純正律では基音の9/8の周波数は、2度に相当します。この場合には2つの音から生じるもう一つの音で、綺麗な響きにはならないですが、うなりには聞こえません。
では次に当初の2度と9度を考えてみましょう。同じくA=440(Hz)を基準にすると、

B = 440 × 9 / 8 = 495 (Hz)

で差音は、

440 × 1/8 = 55(Hz)

ですが、何か気付いたでしょう?
55(Hz)もAの音ですね。ということはこのうなりは基音と重なるために濁りません。実は純正律やピタゴラス律では、基本的に分母が2のべき乗か分子が2のべき乗になるため、1オクターブ内では差音が、基音かもしくはもう一方の音と重なり、うなりません。
では、同様に9度の音を考えると、

B = 440 × 9 / 8 × 2(2は1オクターブ変換時の定数) = 440 × 9 / 4  = 990 (Hz)

で差音は、

990 - 440 = 440 × 5/4 = 550(Hz)

ここで現れる5/4というのは、実は純正律の基音と長3度の関係ですので、Aに対してC#の音になります。

さて、ここまで読んで気付いたと思いますが、2度と9度での音の重なり方が異なることから、響きが異なることがわかります。

さらに同じように考えると、ポピュラーやジャズでは、あるコードネームに対して、構成音の下からの順番を変えることが普通ですが、コードの響きが似て非なるものになりますので、気をつけましょうdanger

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